2025-12-01 アーティストインタビュー LION/落合琳音

Artist Interview

2025年12月  颼游會注目アーティスト LION/落合琳音氏
鮮やかな色彩と深い哲学をあわせ持つLION(落合琳音)の作品は、視覚的な美しさの先にある“心の奥”へとそっと語りかけてくる。
イラスト、造形、言葉を自在に往来しながら、人間の孤独や希望、成長に静かに光を当てる彼の表現は、見る者に深い余韻と問いを残す。

LION/落合琳音

Artist/Creator team「ιός」創設者

東京に拠点を置き、活動中。
高校の美術教師だった祖父とフラワーアレジメントの父の影響を受け、
独学で絵を描き始める。

社会の違和感、心の奥底に潜む感情、そして人間の成長や孤独をテーマに、
視覚と感性で語る作品を制作。
そのすべては、「本音が隠された社会」への問いかけであり、
「優しさで溢れる世界」への祈りでもある。

固定概念を破壊する造形作品から、静かに寄り添うキャンバスアート。
多彩な色を用いたイラスト、ポヨンペイ。
メッセージを込めた独特な映像、写真、音楽、衣装まで。
LIONの作品は、見る者の心に静かに入り込み、問いを残す。

日常の中に潜むエモーションをすくい上げ、アートとして昇華する。
「生きた証を残し、何者かの何かになりたい。」
それが、LIONの創作活動の根幹である。

経歴

2023/01 絵を描き始める
2023/12 個展 デザインフェスタギャラリー原宿「LYONS SPACE」
2024/04 Creator Team ιός設立
2024/05 日本文藝企画展 横浜赤レンガ倉庫「The square Vol.2」参加
2024/08 グループ展主催 デザインフェスタギャラリー原宿「R.G.B」
2024/10 個展 青森県八戸市彩画堂ギャラリーArtForce「LYONS SPACE」
2024/11 アーティスト集団 颼游會 加入

“人”を見つめるアート ― LION/落合琳音の世界

東京を拠点に活動する若きアーティスト、LION(落合琳音)。
彼のアートは、鮮やかな色彩にあふれるイラスト、固定概念を破壊する造形作品、そして文章と一体化した作品群が特徴である。
その奥には深い哲学が息づき、人間の孤独や成長、社会への問いかけを静かに、しかし確実に表現する。
絵と文を通じて生み出される世界は、観る者の心の奥底に直接触れるような力を持っている。

「私の作品は、誰かの心に少しでもプラスになるものでありたい」
「ただ美しいだけのものではなく、見えないものを描くこと、言葉を添えることで、心の中に響く表現を届けたい」
とLIONは語る。
その真摯な視線からは、自身の表現が「生きた証」であるという強い意志が感じられる。

Roots / 祖父と父から受け継いだ感性

LIONが本格的にアートの世界に足を踏み入れたのは20歳の頃。高校の美術教師であった祖父、そしてフラワーアレンジメントを手がける父の影響が大きかった。それまでの彼はサッカー一筋で、夢に迷いを感じる日々を送っていた。だが、祖父のアトリエに足を踏み入れた瞬間、全てが変わった。描きかけのキャンバス、漂う絵具の匂い、アトリエに差し込む柔らかな光——そのすべてが彼の感覚を揺さぶった。

「心に響くものに触れた瞬間、私も祖父や父のように人の心を動かすものを創りたいと思いました。生きた証を世に残すこと、ここにいたことを伝えるための表現です」

祖父は絵に厳しい目を持ち、価値観も独特だった。「自分が見たままの景色を描くことに意味があり、売ることを考えない」という祖父の言葉は、逆説的にLIONに「売れる人になりたい」という挑戦心を芽生えさせた。

Exhibitions / 売れるために自ら仕組みを作る

絵を本格的に描き始めて間もない2023年、LIONは早くも作品を販売する道を選んだ。祖父は絵を占いとして描き、売ることを考えなかったが、LIONは真逆を行くことを決意する。

「祖父は『自分が見たままの景色を描く』だけで、売ることは考えていなかった。でも僕は売れる人になりたいと思ったんです。どうしたら作品を世に出せるかを考え、1年以内に個展を開くことを目標にしました」

単なる創作だけでなく、個展開催に向けて入念な準備を進めた。展示テーマや演出をあらかじめ決め、会場運営や告知、スタッフ配置まで計画。知人やスタッフと連携し、チラシや広告も各地に張り出した。その努力は、作品を展示するだけでなく、販売につなげる確かな仕組みとなった。結果として、最初の個展は赤字覚悟だったが、予想以上の売上を記録。この経験は、創作だけでなく、作品を発表する環境づくりの重要性をLIONに教えた。

「絵が売れることももちろん嬉しかったけど、それ以上に、才能を持ちながらも発表の機会に恵まれない人たちが多いと感じたんです。もっと環境を提供すれば、もっと多くの人に見てもらえるのではないか」と語る。その想いから生まれたのが、同世代のクリエイターたちと共に活動するチーム「ιός」だ。メンバーは青森や東京を中心に約40名、制作や発表の場を共有し、音楽、映像、展示空間、チラシなど多岐にわたるクリエイティブを共に手がける。

「最初の個展がきっかけで、少しずつ売上も出て、僕自身もっと大きな作品を作りたい、発信していきたい、作品に深みを持たせたいという気持ちになりました」とLIONは話す。創作と同時に、自ら仕組みを作り、周囲の才能を引き出す行動力。若きアーティストの成功は偶然ではなく、緻密な準備と想いの積み重ねによって成り立っている。

2023 /12  個展 デザインフェスタギャラリー原宿
「LYONS SPACE」
2024/08 グループ展主催 デザインフェスタギャラリー原宿「R.G.B」
2024/10 個展 青森県八戸市彩画堂ギャラリーArtForce 「LYONS SPACE」

Works / 代表作・シリーズ作品 ~文章と一体化した表現

LIONの代表作には、アクリル絵の具による「希望のくじら」と「ガラスの虚像」、イラストシリーズ「ポヨンペイ」、そして造形作品「望み」がある。

希望のくじら

絵画 / アクリル絵具

「希望のくじら」は、私が初めて向き合い、心の奥から生まれた作品です。

慈悲を象徴するクジラは、ゆるやかな軌跡を描きながら、清らかな水を必要としている大地へそっと注いでいきます。

それは、私たちが当たり前と思う恵みが、世界のどこかでは届かない現実への小さな祈り。
ひとしずくの水が、その地にやわらかな光となって広がり、未来の日々をそっと潤しますように――そんな願いを封じ込めました。

「希望のくじら」絵画 / アクリル絵具

「ガラスの虚像」絵画 / アクリル絵具

ガラスの虚像

絵画 / アクリル絵具

色彩を変えると別の表現が現れる仕掛けを持つ。文章で構築された物語が、色彩の変化や形状のディテールに反映されており、「観る人に体験してほしい、ただ観るだけでなく自分で作品を変える感覚を味わってほしい」


ポヨンペイシリーズ

ボールペン|水性ペン

弟の無邪気な発言や偶発的な造形が発想の起点となり、意味のない造形に名前をつけシリーズ化。

「小鬼の才能」は弟をモデルに、日常の偶然が創作に結びついた。文章と絵が一体化し、作品に生命を与えている。

「ポヨンペイシリーズ」ボールペン|水性ペン


「望み」造形作品

望み

造形作品

「望み」は、ワイヤーという硬質な素材を用いて、心の奥に潜む暗闇から一歩踏み出す瞬間を立体化した作品です。

絡み合う線は迷いの記憶を、ふと開ける色彩の広がりは、光へと向かう決意を象徴しています。

文章として綴られてきた心象世界が、ここでは形をもち、影をもち、触れられる存在となりました。

この作品を前にした人が、自らの内面にある暗闇と光の境界を重ね、その一瞬の躍動を自分自身の物語として感じていただければ幸いです。

Philosophy / 制作スタイル・哲学~文章から生まれる絵

LIONの制作は、文章から始まる。文章で世界観を構築した後、キャンバスや造形物へと展開することで、自由度の高い表現を実現する。

「枠を作ってしまうと自由が失われます。その時の気持ちや感覚を文章に書き起こすことで、自然と絵や造形が生まれます。伝えたいことも、制作しながら浮かび上がるのです」

色彩やモチーフは直感的に選ばれ、日常の断片や観察から生まれる。ジャンルによる意識の違いもあり、造形作品は固定概念の破壊、イラストはポップで自由、映像は観る者に届くオリジナリティを追求する。制作中、LIONは常に「誰かの心に寄り添うこと」を意識している。

Collaboration / チーム活動・協働:ιόςとしゅうゆうかい

クリエイターチーム「ιός」

自らの経験をもとに、LIONはクリエイターチーム「ιός」を設立。同世代の才能ある若者に発表の場を提供するため、青森・東京を中心に約40名が参加。映像、音楽、衣装、展示空間、チラシ制作まで多岐にわたり活動する。

さらに、アーティスト集団「颼游會(しゅうゆうかい)」に参加。メンバーの作品はあえて深く見ない。「リスペクトしているからこそ、影響を受けて似てしまうのが怖いんです。でも文章はチェックします。その人ならどう表現するかを考えるだけで、自分の制作に活かせます」と語る。

個展やグループ展では、展示演出や告知、スタッフ運営まで緻密に計画される。最初は赤字覚悟だった個展も、準備と協力によって黒字となり、作品を世に出す喜びと、他者と協働する価値を学んだ。

ιόςの仲間たちと

Future / 未来への展望~自由と普遍性の追求

LIONは、アートの表現領域をさらに広げたいと考えている。絵画や造形、イラストにとどまらず、映像や空間全体を生かした展示など、新しい挑戦を続けるつもりだ。社会に向けては、同調圧力や「こうあるべき」という固定観念に反発し、個への尊重と自由の大切さを伝えたいという。

「私の作品を通して、どんな感情でも構いません。ただ少しでもプラスになるものを届けたい。それが私の役割です。10年後には、世代を超えて残る作品を作りたい」と語るLIONの目は、静かに、しかし確固たる未来への希望で光っている。

LION/落合琳音のアートは、単なる視覚の楽しみを超え、観る者に問いを投げかける。
文章と絵、造形と空間が融合した作品世界に触れることで、私たちは「人間とは何か」「社会とは何か」を改めて考えることになるだろう。
LIONは今後も、色彩と文章、造形と空間を通じて、誰かの心に寄り添うアートを創り続ける。

颼游會代表理事からの推薦

颼游會で独自のスタイルで人間的感情を立体的に創作するアーティストLION。
彼の独特且つ多彩な表現力は、まさに颼游會の個性を象徴とする作家の中で、特に彼の作風は独自の感受性が作品に顕著に表れている。
一度見たらその創作は、目に焼き付くほどの存在感を放っている。
颼游會の中では、性格的には静かなる人物に見えるが、作品からはLIONが解き放つ人間的感情が空気を伝わって感じるほどだ。今後彼の作家活動は目が離せないだろう。