2025-11-07 アーティストインタビュー 墨彩詩人・洸迦
墨彩詩人・洸迦 / ほのか

北海道・札幌を拠点に活動するアーティスト、洸迦(ほのか)。
“墨彩詩人”という肩書が示すように、彼女のアートは絵画と詩、そして感情の調べが溶け合う世界を描き出す。
墨の濃淡、デジタルの光、オイルパステルの柔らかい質感――使う画材は作品ごとに変わる。
それは彼女が、心の動きに正直であることを何よりも大切にしているからだ。
Profile
洸迦(ほのか)/墨彩詩人・アーティスト
北海道札幌市在住。声優アーティストとして活動後、心身の不調により活動を休止。静養期間中に描いた作品が障がい者アート公募展で入選したことをきっかけに、アーティストとしての道を歩み始める。
墨、デジタル、オイルパステルなど多様な画材を駆使し、感情や希望、平和への祈りをテーマに表現する。詩や言葉、写真など幅広い表現活動を展開し、「感情を否定せず受け入れる」ことを軸に創作を続けている。
自身を「カメレオン作家」と称し、日々変化する心模様をそのままに描くスタイルが特徴。
感情を受け入れ、希望を描く。静かな光が宿るアートの世界。
Embracing emotions and depicting hope, a world of art filled with quiet light.

オイルパステル・アクリル・水彩紙
パラリンアート世界大会2022 テーマ「未来」
特別協賛パーソル賞

墨・和紙・木製パネル

デジタル
パラリンアートカップ2022 日本プロサッカー選手会賞

墨・テクスチャー・布キャンパス
第57回道美展 入選

透明水彩・水彩紙
SOMPOパラリンアートカップ2021
準グランプリ&日本プロ野球選手会 W賞

デジタル

オイルパステル・水彩紙
象印マホービン株式会社 「象」と「私の好きなもの」アートコンテスト 優秀賞

透明水彩・水彩紙
ビバホーム“7色の色“テーマ デザインコンペ2021 銀賞

オイルパステル・木製パネル
NTTアートコンテスト2023「ひろがる世界」JAL賞
インタビュー
INTERVIEW
「描くこと」が再び息を吹き返した瞬間

アートを始めたきっかけを教えてください。

もともとは声優アーティストとして活動していたのですが、精神的な不調で一度活動を休止しました。
少しずつ心と身体が回復してきた頃、偶然目にした障がい者アートの公募展に応募してみたんです。
すると、その作品が入選して。それがすべての始まりでした。
静養の中で再び見つけた“描く”という行為。
それは表現を取り戻すだけでなく、自分を再び肯定するきっかけでもあったという。

評価をいただけるようになってから、自分を受け入れられるようになりました。
アートを通して、「生きていてもいいんだ」と思えるようになったんです。
感情と希望、そして平和への祈り

作品を通して伝えたいテーマについて教えてください。

私の作品には「感情」「希望」「平和」が常にあります。
感情に関しては、感受性が強いゆえに心を病んだこともありました。
でも今はその感情を否定せず、受け入れて昇華するようにしています。
誰かの心を少しでも癒したり、希望を持ってもらえたら嬉しいです。
幼い頃にニュースで見た戦争や紛争の映像が、彼女の中に今も残っている。
理不尽に奪われる命の灯を悲しみ、「平和」を描くことは自分の使命のように感じているという。

戦火のない日本で生きる自分に何ができるのか。
答えは見つからなくても、アートを通して命を想うことだけは忘れたくありません。
作品に宿る「想い」のかたち

代表作やお気に入りの作品を教えてください。


代表作は札幌市医師会のマスコットキャラクター「メーイくん」です。
最優秀賞をいただき、今では医師会の顔として活躍してくれています。
羊というモチーフには、札幌市民にとって親しみ深く、命を支える存在としての意味が込められている。
ツノには「病に立ち向かう勇気」を託した。


もう一つお気に入りなのが墨象作品『夢の波紋』。
何気なく描いた作品なのですが、濃淡のバランスや感情の揺らぎがしっくりきて。
将来への期待と不安が入り混じったような一枚になりました。
まだ額装していないので、これから“お化粧”をしてあげたいとのこと。
見る人の解釈が生まれる「余白」

作品タイトルの由来やテーマには、どんな意味がありますか?

タイトルは、見た人の想像を補う“助け舟”のようなものです。
もちろん作品に込めた想いはありますが、受け取る人の解釈が違ってもいい。
「そういう見方もあるんだ」と私自身も学べます。
テーマは前向きなものや癒しを意識していますし、花言葉や日本神話などもよく取り入れます。
絵ごとに変わる「顔」

作品を見る際のポイントや魅力を教えてください。

私の作品は画材やテーマによってまったく雰囲気が変わります。
「これも同じ人が描いたの?」と驚かれることも多いです。
統一性がないと言われることもありますが、私はその“振れ幅”こそ自分の個性だと思っています。
「次はどんな作品が出てくるんだろう」とワクワクしてもらえたら嬉しいです。

見る人に楽しんでもらいたいという姿勢が作品から感じられますね。
感情を形にする制作プロセス

その時に感じた感情を整理して、頭の中でイメージをまとめます。
ノートにラフを描くこともあれば、何も考えずに一気に描くこともあります。
インスピレーションに身を任せることが多いですね。

制作中に大切にしていることは?

自分に嘘をつかないことです。
虚像であっても意味のある作品はありますが、
自分に正直でなければ本当の作品にはならない。
だからいつも、心の声に耳を傾けています。

とても真っ直ぐな言葉ですね。作品を通して“本当の自分”と向き合う時間でもあるんですね。
言葉の世界から受けた影響

文豪作品から創作活動に影響を受けられていると伺いました。

影響を受けたのは北原白秋や島崎藤村の詩です。
ゲームをきっかけに文豪の世界に触れたのですが、言葉の響きや世界観に感銘を受けました。
私は言葉からイメージを膨らませるタイプなので、
行き詰まったときは詩集を開いて心を整えることもあります。

詩の言葉が、心のリズムを整えてくれるんですね。
“カメレオン作家”という自由

昔、「いろんな画材を使いすぎて個性がない」と言われたことがありました。
それがずっと悩みでしたが、
ある時「いろんなものを描けるのも才能だよ」と言ってもらえて。
そこから“カメレオン作家”と自称するようになりました。
今は固定せず、自由に表現を楽しんでいます。

墨、デジタル、オイルパステルなど多様な画材で多用な表現ができることは洸迦さんの作家としての強みかと思います。何にも囚われず、縛られず創作活動を楽しんで頂きたいですね。
北の大地がくれるインスピレーション

よくドライブをしたり、温泉に行ったりします。
北海道の広大な自然は、創作意欲を刺激してくれる大切な場所。
大地の恵みや生命のぬくもりを感じると、
「この感覚を作品で伝えたい」と自然に思えるんです。

壮大な北海道の大地がほのかさんの活動を後押ししているわけですね。
生まれる瞬間の静けさ

作品が完成した瞬間は、不思議と“無”になることが多いです。
経験はありませんが、出産に近い感覚かもしれません。
無のあとに、「生まれてくれてありがとう」と思える。
一枚の作品と出会えたことに感謝しています。

予想外の喜びがくれた自信

印象に残っているのは、思いがけず受賞した作品です。
自信を持って応募しても、いつも不安で。
でも受賞の知らせをいただくたび、「あの時描いてよかった」と心から思います。
積み重ねが今の自分を支えてくれていると感じます。

思いがけない受賞が、次の創作への力になるんですね。結果だけでなく、その“描いた時間”が報われるような瞬間のように感じます。
表現を届ける場所を増やしたい

まだ作品をお迎えいただく機会は少ないですが、
展示販売やオンラインショップなど、
作品を見てもらえる機会をもっと増やしていきたいです。
作品を通じて、誰かの日常に“ひとしずくの癒し”を届けられたら嬉しいですね。

“ひとしずくの癒し”という言葉、とても素敵ですね。洸迦さんの作品を拝見していると、まさにその言葉の通り、心の奥に静かに沁み込む優しさを感じます。作品を通して、人の心に寄り添うことを大切にされているのですね。
詩、声、写真―多面的な表現者として

以前は声優アーティストとして活動していたり、詩や小説を書いていました。
文壇デビューも夢でしたね。
今はスマホ写真もライフワークの一つです。
今年は道美展のスマホ写真部門で賞をいただき、
「スマホだからこそ撮れる一瞬」をこれからも撮り続けたいと思っています。

声優アーティストや詩、小説、そして写真まで、ジャンルを越えて表現を続けてこられたんですね。表現の形は変わっても、“言葉”や“感情”を伝える根っこは共通しているように感じます。
スマホ写真作品

iPhone14Pro
第57回道美展 スマホ写真部門 スマート賞


心の洗濯ができる作品を描きたい

将来は、心が洗われるような作品を描きたいです。

“心が洗われるような作品”という言葉が印象的です。まるで自然の中で深呼吸をするような、そんな絵を描きたいという思いなんですね。

露天風呂に入り、空を見上げたときの“何も考えずにいられる時間”のような、
そんな作品を目指しています。

これから先に、どんな未来を描いていきたいですか?

夢は、美術館で展示してもらえるような作家になること。
そして、美術展の音声ガイドもやってみたいです。
私は特別な才能があるわけではありません。
ただ、欠けた自分なりにできる限り頑張って、
「生きててよかった」と思える人生を描きたいと思っています。

欠けたままでいい。その言葉には、強さと優しさが共存していますね。洸迦さんの作品が、これからも多くの人の心をそっと包んでいくことを願っています。
静かな筆致の奥に、たしかな生命の息づかいを感じる。
洸迦(ほのか)の作品は、心の揺らぎをそのまま光に変えていくようだ。
見つめていると、不思議と胸の奥に穏やかな風が吹く。
“感情を否定せず、受け入れて昇華する”
彼女の描く世界は、現代を生きる私たちに必要な優しさを思い出させてくれる。
これからも、墨彩詩人・洸迦が紡ぐ光と影の物語から目が離せない。

颼游會代表理事からの推薦
颼游會の中でも独特なアートの性質を持ち、将来的な素質を感じさせるアーティスト
洸迦(ほのか)さん。彼女の作風には、円を主体とした作品が多く見える。それぞれの作品のタッチを見てみると
平和の想いや、自分と向き合う正直な心境が作中から流れてくるようだ。
円というのは、人間の心理が最終段階として辿り着くべき境地でもあり、円から人と人が繋ぐ縁を感じるからこそ
その哲学に通づるものがある。
洸迦さんの作品は、一見シンプルに見えつつも、深みを感じせる。例えていうなら、1つの丸いボール玉の
中に沢山の愛情を込めた想いが詰まった重量感のあるボール玉。
今後の活動でも、期待度の高い颼游會のアーティストであることは間違いない。


